ユーザーシナリオとは?似た言葉との違いや書き方を解説

UXデザインを進めるうえで、ユーザーの心理や行動を把握することは欠かせないプロセスの1つです。

ユーザーシナリオは、それらを可視化するのに有効な手法となります。

しかし、ユーザーシナリオには似たような意味合いの言葉がいくつかあります。それらの違いや具体的な書き方をイメージできないという方も多いはずです。

そこで、この記事ではユーザーシナリオの概要や具体的な書き方を解説します。

ユーザーシナリオとは?

ユーザーシナリオとは、ユーザーがプロダクトと出会うところから、購入・利用・問題解決などのゴール地点までの流れをシナリオ立てて描いたもののことです。

具体的な行動や心理的な変化を点ではなく線として描くため、課題の抽出や対策の立案をしやすくなります

また、描き上げたユーザーシナリオは可視化されます。よって、チーム間で共通の認識を持ちやすくなるでしょう。

ユーザーシナリオを書く目的

ユーザーシナリオは、以下の4つを得ることを目的に描き上げていきます。

  • ユーザー体験の可視化
  • ユーザーが持つ潜在的なニーズの把握
  • 改善点の洗い出し
  • チーム内での共通認識を持つ

上記の項目は、どれもより良いサービス・プロダクトを作るうえで欠かせないものです。

ユーザーシナリオを作成することが、利益の最大化・企業理念の実現といった「企業の存在理由」に直結するといっても過言ではないでしょう。

ユーザーシナリオの4つの基本構成要素

基本的に以下の4つの要素によって構成されます。

構成要素概要
誰が(ペルソナ)サービス・プロダクトを使用する具体的な架空の人物像
どのようなきっかけ・状況で(スタート)ペルソナが自社サービス・プロダクトに触れることになったきっかけ・背景・感情
何を達成するために(ゴール)ペルソナが最終的に達成したい目的
どんな行動を起こすか(プロセス)スタートからゴールまでの間に起こす行動

上記の項目はどれもユーザーシナリオに欠かせない要素です。しかし、ペルソナがズレているとその後のユーザーシナリオも全てズレてしまいます。

よって、ペルソナ設定が最も重要な工程だといってもいいでしょう。

ペルソナ設定のやり方は以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

>>>>ペルソナ設定の方法を3ステップで解説!基礎知識から注意点まで

ユーザーシナリオと混同されがちな用語との違い

ユーザーシナリオと混同されがちなマーケティング用語として、以下の3つがあります。

・カスタマージャーニーマップ
・ユースケース
・ユーザーストーリー

それぞれの言葉と、ユーザーシナリオとの違いを解説します。

ユーザーシナリオとカスタマージャーニーマップの違い

カスタマージャーニーマップとは、ユーザーがサービス・プロダクトを知るところから使用・購入などに至るまでの行動・感情の変化を可視化したものです。

つまり、ユーザーシナリオとカスタマージャーニーマップはほとんど同じものと解釈できます。

ただ、ユーザーシナリオはテキストベースで描き上げられることが多いです。一方で、カスタマージャーニーマップは図表を使って可視化するのが一般的です。

サービスやプロダクトの性質によって、ベストな手法を選択すれば問題ありません。

カスタマージャーニーマップの作成方法は、以下の記事で詳しく解説しています。

>>>>カスタマージャーニーマップとは?作り方6ステップと注意点を解説

ユーザーシナリオとユースケースの違い

ユースケースとは、ユーザーがサービス・プロダクトを利用する際の操作と、システムの応答の様子を可視化したものです。

ユーザーシナリオは、ユーザー体験全体を可視化したものを指します。そのため、両者は意味合いが異なります。

ユーザーシナリオとユーザーストーリーの違い

ユーザーシナリオとユーザーストーリーは、その詳細性や作成する目的に違いがあります

ユーザーストーリーとは、ユーザー側の立場からサービス・プロダクトの改善点などを可視化したものです。

多くの場合は「私が〇〇の立場なら、××を実行することで、△△を達成したい」という形式でシンプルに書き表します。

対して、ユーザーシナリオはユーザー体験の全体をこと細かに書き表します。

ユーザーシナリオはより良いユーザー体験を提供するために作成します。一方で、ユーザーストーリーは現状取り組むべき課題やタスクを明確するために作成します。

ユーザーシナリオの書き方3STEP

ユーザーシナリオの書き方3STEP

ユーザーシナリオを作成する際は、下記の3ステップに沿って進めていきます。

①ペルソナ・スタート・ゴールを設定する
②プロセス・ユーザー心理を書き出す
③改善策を検討する

①ペルソナ・スタート・ゴールを設定する

まず、ユーザーシナリオを構成する4つの要素のうち、ペルソナ・スタート・ゴールを順番に設定します。

前述したように、ペルソナがズレてしまうと、スタートやゴール、そしてプロセスもズレたものになってしまうので注意してください。

自社の典型的な顧客像をイメージして、サービス・プロダクトに適したペルソナを設定しましょう。

②プロセス・ユーザー心理を書き出す

続いて、スタートとゴールの間にあるプロセスや、それに付随するユーザー心理を書き出していきます。

例えば、食品を販売するECサイトの場合は、スタートがサイトへアクセスすること・ゴールが必要な商品を購入することになるでしょう。

その間には、食品を検索したり、カートに追加したりといったプロセスがあります。

そのプロセスの裏側にあるユーザー心理に、サービス・プロダクトの改善点が隠れているかもしれません。

③改善策を検討する

スタートとゴールの間にあるプロセス・ユーザー心理を書き出すことで、現状の課題や改善点がみえてきます。

それらを改善するために、チーム全体で改善策を検討します。

この段階でペルソナの共通認識があれば、より役立つアイディアを立案できるはずです。

ユーザー自身が気付いていない、潜在的なニーズやそれに対する対策も見えてくるかもしれません。

まとめ

ユーザーシナリオは、ユーザーがサービス・プロダクトに出会うところから購入・利用といったゴールに至るまでのプロセスをシナリオだてたものです。

それを図表で書き表すカスタマージャーニーマップとほとんど同じような意味合いです。しかし、サービス・プロダクトによってはテキストで書き表した方がいいでしょう。

ユーザーシナリオを作成することで、ユーザーの潜在的なニーズの把握・改善策の立案がしやすくなります。また、チーム内で共通の認識を持つことができます。

より良いサービス・プロダクトの開発を目指して、ユーザーシナリオを作成してみてください。

デジタル領域でのお困り事やプロダクト開発について、まずはお気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら

あわせて読みたい記事