ECサイトや小売などの業界では、顧客満足度の改善・業務効率化に向けて、カスタマーサポートボットを導入する企業が増加しています。そこで本記事では、カスタマーサポートボットを導入するメリットについて解説します。注意点もまとめているので、導入時の参考にしてみてください。

カスタマーサポートボットとは

カスタマーサポートボットとは、自動で音声やテキストを使って顧客のサポートを行うシステムです。大きく分けて、「シナリオ型」と「AI型」の2種類があり、前者のシナリオ型はチャット上に表示された選択肢をユーザーが選択し、あらかじめ作成したシナリオに沿って回答するタイプです。

シナリオ型のボットは、ユーザーからの質問内容がある程度決まっている場合に向いています。ただし、想定外の質問が出たときにチャットボットだけでは対応が難しくなることから、オペレーターへの接続環境を用意する必要があります。

後者のAI型は、ユーザーが入力した質問内容を人工知能が解析し、適切な回答を行うタイプです。ある程度決まった質問のみ対応可能なシナリオ型と異なり、AIが質問内容を分析することが可能であることから、より多くの質問に対応したい場合にAIタイプが向いています。一方で、AIによる学習データ不十分の間は、ユーザーへの回答精度が低下する点に注意が必要です。

カスタマーサポートボットを導入するメリット

カスタマーサポートボットを導入することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。5つのメリットを紹介するので、導入時の参考にしてみましょう。

顧客満足度の向上につながる

1つ目のメリットは、顧客満足度の向上につながることです。顧客からの質問に対してスムーズな回答が可能であるため、顧客にストレスを感じさせる機会を減少し、満足度向上に期待できます。

また、カスタマーサポートボットを介して顧客満足度向上が実現できれば、口コミ反響やリピート率の向上にもつながる可能性があります。

現場の業務効率化を狙える

カスタマーサポートボットを導入することで、現場の業務効率化が狙えます。ユーザーからの問い合わせ対応や、カスタマーサポートに必要な工数を削減し、従業員をほかの業務に割り当てられます。

さらに、カスタマーサポートボットは、自社でナレッジやマニュアルを共有する手段としても効果的です。たとえば、特定の業務に関する

コスト削減に期待できる

チャットボット導入に伴い、コスト削減にも活かせます。これまでのカスタマーサポートでは、専用の従業員を配置したり、コールセンターに外注したりするなど、さまざまなコストが発生していました。

一方、チャットボットを導入することで、カスタマーサポート業務を自動化し、現場に必要な人員数を削減できます。結果として人件費や業務委託費といったコストカットにつながります。

マーケティング施策に活かせる

カスタマーサポートボットで蓄積したデータをマーケティング施策にも活用できます。顧客側の動きや、アクションをデータとして収集したり、分析することで、新たなマーケティング施策実施につながります。

たとえば、顧客がどのような悩みを抱えているのかを可視化し、新商品・新サービスの開発を進めていくことも可能です。上記のようにカスタマーサポートボットの導入で、これまで見えてこなかった点に気づき、マーケティング施策に活用しやすくなるのがメリットといえます。

Webサイトの離脱率低下につながる

カスタマーサポートボットは、Webサイトの離脱率低下にも役立ちます。仮に、Webサイト上でカスタマーサポートボットが設置されていないと、ユーザーは疑問・悩みを解決できず、ほかのWebサイトに移動してしまう可能性があります。

一方で、カスタマーサポートボットがあれば、ユーザーが知りたい内容に対する回答が記載してあるページへの遷移が可能であるため、自社Webサイトからの離脱を防げるのがメリットです。

カスタマーサポートボットを導入時の注意点

カスタマーサポートボットは多くのメリットがある一方で、注意しなければならないことがあります。注意点を踏まえたうえで、カスタマーサポートボットの導入を進めていきましょう。

導入までに時間・コストを要する

1つ目の注意点は、カスタマーサポートボット導入までに時間を要することです。具体的には、ボットを扱う担当者の人材採用、ボットに記載するFAQの調整、シナリオの作成といった作業が必要です。

また、シナリオ型・AI型ともに導入コストが発生する点にも気をつけましょう。導入時の初期費用だけでなく、回答精度向上に向けたチューニング作業に伴う人的コストもかかります。

AI型は回答精度を高めるのに時間がかかる

次に、AI型に関しては、ユーザーからの質問に対して回答精度を高めるのに時間とコストがかかってしまう点です。シナリオ型は、あらかじめ質問と回答を作成しておくだけで運用可能ですが、AI型は回答精度が高まるまでに一定の期間を要します。

つまり、AI型ボット導入開始直後は、ユーザーが求める回答が出せず、機能を十分に活かせない可能性があります。

まとめ

カスタマーサポートボット導入に関するメリット・注意点に関して解説しました。顧客満足度・業務効率化の向上だけでなく、人件費のコスト削減やマーケティング施策への活用といったメリットが多くあります。とはいえ、導入時には注意点も把握したうえで、使いこなせるように準備しましょう。