小売店やECでは、商品を手に取ってもらうために陳列に気を配っているケースが多いです。効果的な陳列を実現するにあたって用いられている分析方法として、バスケット分析の名前が挙げられます。
本記事では、バスケット分析の概要をはじめ、分析の際に用いる指標や基本的な流れについて解説します。おすすめのツールも一緒に取り上げるため、興味を持った方はぜひ最後までご覧ください。
目次
バスケット分析とは

そもそもバスケット分析とは、データ分析手法の1つです。顧客の買い物かご、つまりバスケットの中身を分析することからバスケット分析と呼ばれるようになりました。
とくに小売業やECサイトで活用されており、商品がどのような組み合わせで購入されているのか、法則や関連性を明らかにできます。
バスケット分析の事例
バスケット分析の起源ともいえる事例が、オムツとビールです。アメリカのとあるドラッグストアで販売分析が実施され、その結果金曜日の夕方に男性顧客がオムツとビールを一緒に購入していることが判明しました。
これにより、オムツの買い出しを頼まれた仕事終わりの父親という消費者像が明確になったのです。そこで、ドラッグストア側がオムツとビールを並べて陳列した結果、売上の向上につなげました。
バスケット分析をする際に用いる4つの指標
バスケット分析をする際は、以下の4つの指標が用いられます。
- 支持度
- 信頼度
- 期待信頼度
- リフト値
それぞれの指標の詳細は、以下のとおりです。
支持度
全顧客のうち、商品Aと商品Bを同時に購入した方の割合で、算出するための式は以下のとおりです。
同時購入者数÷購入者全体数=支持度
支持度が高ければ2つの商品は同時に購入される可能性が高く、低ければ関連性が薄いと判断できます。
信頼度
商品Aを購入した顧客のうち、商品Bも一緒に購入した方の割合で、式は以下のとおりです。
同時購入者数÷商品Aの購入者数=信頼度
信頼度が高ければ、支持度の向上にもつながります。低い場合は、両者を一緒に購入してもらうための施策を考えるきっかけになります。
期待信頼度
全顧客のうち、商品Bを購入した方の割合で、算出するための式は以下のとおりです。
商品B購入者数÷購入者全体数=期待信頼度
期待信頼度が高ければそれだけ購入者が多い、つまり魅力的な商品といえるでしょう。
リフト値
期待信頼度に対する信頼度の割合です。リフト値を算出すると、購入された理由が偶然だったのか、それともセット購入する理由があったのかが明確になります。
なお、式は以下のとおりです。
信頼度÷期待信頼度=リフト値
リフト値が高ければ、商品Bが単体で売れているのではなく、商品Aとセットで売れていることになります。
バスケット分析の流れ

まずは、分析したい期間の購買データを用意しましょう。データが多いほど、信頼できる分析結果になります。
データの準備ができたら、まず支持度の計算を行います。複数の商品の分析を行い、そのなかで最も支持度の高い商品がバスケット分析の対象です。
その後は信頼度と期待信頼度の計算を行い、最後にリフト値の計算をしてください。リフト値が1を超える場合、2つの商品が同時購入されるケースが多い、つまり両者の関連性が高いことを示します。1を下回っている場合は、同時購入も多いが単独で購入されているケースも多いため、関連性が高いとは言い切れません。
関連性の高い組み合わせが分かったら、適切に商品を販売するための施策の検討に移ります。具体的には、陳列方法の工夫やキャンペーンの実施などがおすすめです。
バスケット分析の注意点
以下では、バスケット分析をする際の注意点について解説します。
人気商品は除外する
すでに売れている商品は、正確な分析結果が出にくいため、分析対象から外してください。たとえば、コーヒーやお茶は季節やトレンドを問わず購入されやすいです。
不正確な分析結果を信用してしまうと、売上の低下をはじめマイナスに作用する可能性があります。
商品ごと、カテゴリごとによって分析結果は変化する
商品ごとに分析を行うと、正確な分析結果を得やすいです。ただし、分析の数が多くなってしまいます。
カテゴリごとであれば、分析結果の種類は少ないものの、大雑把な結果しか得られません。両者のメリットとデメリットを比較し、適した方法を選択しましょう。
違和感のある組み合わせにしない
双方が売れる組み合わせであっても、隣り合わせだと逆に売上が落ちるケースもあります。実例として挙げたオムツとビールも、取り合わせとしては違和感が大きいです。
そのため、同じ通路から見える位置に配置する、同じ日に値引きキャンペーンを実施する、レジの間にオムツとビールを配置するなどの工夫が必要になります。
バスケット分析におすすめのツール4選
最後に、バスケット分析におすすめのツールを紹介します。
Excel
マイクロソフト社が提供している、オフィスシリーズの1つです。基本操作を把握している方が多いため、分析をスムーズに実施できます。
マクロやVBAを上手く活用できれば、データを素早く、効率的に処理できます。ただし、膨大な量のデータ分析は不可能な点に注意してください。
スプレッドシート
エクセルがない場合、スプレッドシートで代用が可能です。スプレッドシートはGoogle社が提供しているサービスで、表計算ソフト、データの管理や分析ができます。
Googleアカウントさえ用意できれば、無料で利用できる点がメリットです。ただし、ほかのツールとの連携ができないというデメリットもあります。
QiliView
世界50,000社以上の顧客に対して、データ関連ソリューションを提供しているBIツールです。
データの読み込みが早く、かつ操作もしやすいため、分析の経験が浅い方も安心です。ただし、初期導入に手間がかかる、ライセンス料が高いなどの意見もあります。
Looker Strap
GCP(Google Cloud Platform)上で提供されている、データ分析ツールです。そのため、Google社が提供しているツールとの相性が良好です。なお、ツールの機能や仕様を理解するための学習コストがかかる点がデメリットとして挙げられます。
まとめ
以上、バスケット分析について取り上げてきました。バスケット分析は、小売店やECサイトにとって欠かせない分析方法です。
注意点を抑えつつ、正しい手法で分析を行えば、売上の向上の助けになるでしょう。ツールを用いれば初心者でも取り組みやすいため、皆さんもぜひ挑戦してみてください。
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