昨今は企業戦略の重要性が高まっており、企業ごとにさまざまな手法で効果的な戦略を生み出そうとしています。そのような手法の1つが、ビジネスデザインです。
本記事では、ビジネスデザインの概要をはじめ、どのようなメリットがあるかについて解説します。また、参考となる成功事例も取り上げるため、興味を持った方はぜひ最後までご覧ください。
目次
ビジネスデザインとは

企業戦略にサービスやプロダクトを結びつけ、新たな価値創造を目指す手法のことです。デザイン思考における、3つの考え方を応用しています。
- 望ましさ
- 実行可能性
- 実現可能性
既存の事業よりも、新規事業開発で活用されるケースが多いです。
ビジネスデザインの重要性
ビジネスデザインの目的の1つが、リスクの低減です。昨今はVUCAの時代とも呼ばれており、不確実性が高く、将来の予測も簡単ではありません。
企業が変化に適応し新規事業を作り出すためにも、ビジネスデザインは重要な存在です。ビジネスデザインのプロセスを活用すれば、検討している新規事業を定量的、論理的な観点で具現化できます。
ビジネスデザインの流れ
以下では、ビジネスデザインの基本的な流れについて解説します。
分析と課題の明確化
まず、現状の分析、および課題の明確化を図ります。同じ課題でも、課題が生まれた背景はさまざまです。
たとえば、同じ「甘いジュースが飲みたい」というニーズがあっても、単純に甘い飲み物が好きな方がいれば、糖分を摂取して頭の働きを活性化させたい方もいるように、背景はさまざまです。
それぞれの背景を正確に把握できなければ、効果的なビジネスデザインの実現はできません。顧客のニーズや課題を把握する方法として、アンケートやインタビューなどが挙げられます。
アイデアの創出
課題が明確にできたら、次は顧客の抱える問題を解決するアイデアを出します。なお、アイデアはマーケティングや営業など、複数の視点から考えましょう。
プロトタイプの試作とテスト
アイデアが生まれたら、1つずつアイデアを検証していきます。
テストでは、顧客からもフィードバックを受けましょう。課題が見つかれば再度調整、もしくは別のアイデアを試します。
ビジネスデザインの注意点

企業戦略を考える方法として優秀なビジネスデザインですが、いくつか押さえておきたい注意点も存在します。
具体的な注意すべきポイントは、以下のとおりです。
ユーザーの視点に立って考える
ビジネスデザインにおいて重要なのは、顧客の立場になって考えることです。視点がズレてしまうと、的外れなビジネスデザインにつながります。
ビジネスデザインの正確性が薄れてしまうと、顧客のニーズを埋められず、効果的な企業戦略は生み出せません。そのため、顧客の感情を注目し、その感情がなぜ生まれたか考えるようにしましょう。
部分最適に陥らないようにする
部分最適とは、全体の一部や個人だけ最適な状態のことです。
短期的な利益を出すだけなら、部分最適でも問題ありません。しかし、長期的な利益を目指す経営にはつなげるのは困難です。
そのため、全体で見たときに最適化されているか、必ず考えましょう。
実現性に囚われすぎない
ビジネスデザインにおいて、アイデアを多数提案することは重要です。提案を繰り返す過程で失敗の分析を行えば、提案力が高まります。
アイデアを考える際は、どうしても実現可能か否かを重視しがちです。しかし、提案の活性化にもつながるため、浮かんだアイデアは一通り提案し、試すようにしましょう。
ビジネスデザインの成功事例4選
最後に、ビジネスデザインの成功事例を4つほど紹介します。これからビジネスデザインの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
有限会社坪川製箱所の事例
段ボールを加工した商品を製造する企業です。
そんな企業の強みである段ボール加工技術を用いて開発されたのが、非常用段ボールランタンです。
懐中電灯を用意するだけで照明を確保できるだけでなく、組み立てがシンプルかつ持ち運びやすいのが特徴です。災害時のニーズを満たせる商品を生み出したことで、高い評価につながりました。
押入れ産業株式会社の事例
トランクルーム事業や、レンタル収納スペース事業でフランチャイズ展開している企業です。
レンタル収納の技術を使った展示空間を提案しており、小さな展示スペースを低価格で貸し出すビジネスモデルの創出に成功しました。
株式会社アーク情報システムの事例
イベント運営者と参加者を、リアルタイムでつなぐサービスを開発している企業です。
フリーランス向けに、イベントの中止や場所の変更などをリアルタイムで共有できるサービスを提供しています。斬新なアイデアが高く評価されており、現在業界内で注目を集めています。
任天堂の事例
言わずと知られた世界的ゲームメーカーでも、ゲーム機の開発においてビジネスデザインの手法が取り入れられています。
たとえば、Wiiの開発事例では、まず社員の家庭の観察を実施しました。その結果獲得したゲーム機があると家庭内の雰囲気が悪くなる、鍋を囲んでいる家庭は親密度が高いなどの情報をもとに、「家族で楽しめるゲーム」というコンセプトのゲーム機の開発に着手。Wiiの開発、および大ヒットにつながりました。
まとめ
以上、ビジネスデザインに関する概要をはじめ、メリットや成功事例について取り上げてきました。
ビジネスデザインは、顧客に価値あるサービスや商品を提供する有効な手法な1つです。提供するサービスや商品の質が高まれば、リピーターが増え、必然的に業績も向上します。
もちろん、期待している効果を得るためには、正しい手法で取り組まなければなりません。ビジネスデザインに興味を持った方は、今回取り上げた情報を参考に取り組んでみましょう。
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