「 顧客を想像してはならない、顧客に直接聴かなければならない」
上記は、マーケティングの神様P.F.ドラッカーの言葉が残した言葉です。
顧客に直接聴く、つまり顧客とコミュニケーションをとるうえで、顧客関係管理を意味するCRM施策を投じることは非常に有効となります。
そこで、本記事ではCRM施策の具体例や進め方、そして成果を最大化させるためのコツをお伝えします。自社の顧客と良好な関係性を築くため、そして利益を最大化していくために、ぜひ参考にしてください。
目次
CRM施策についての基礎知識
まずはCRM施策に関する基礎知識として、以下の4点をお伝えします。
- CRM施策とは
- SFAとの違い
- MAとの違い
- CRM施策をおこなうメリット
CRM施策とは
CRMは「Customer Relation Management」の略語で、日本語でいうと「顧客関係管理」を意味します。よって、CRM施策とは顧客との良好な関係を築いていくためにおこなう施策のことです。
価値観の多様化、そして市場縮小による消費行動の変化が顕著となっている昨今は、既存顧客との関係性構築がこれまで以上に重要視されています。
CRM施策の1つの例として、顧客の情報を一元管理・分析などができるツールを用いることで、1人ひとりの顧客に合わせて適切なアプローチをとれるようになります。
顧客の興味・関心・行動パターンを踏まえたうえで、マーケティング戦略を投じることができ、顧客満足度の向上や売上拡大が見込まれます。
これらによって、企業・顧客の双方がメリットを得ることができるでしょう。
SFAとの違い
CRM施策と混同されがちなSFAは、顧客情報を管理して営業活動を効率化することを目的としています。
例えば、営業の進捗やスケジュールの管理、情報共有などをおこなって営業活動の効率化を図るわけです。
対して、CRM施策は顧客情報を元にマーケティング効果を上げるのが目的です。
顧客情報を管理するという点では同じですが目的が違うため、SFAとCRM施策では顧客情報の活用方法が違います。
MAとの違い
マーケティングオートメーションの略語であるMAは、その名のとおりマーケティング活動を自動化すること、そのためのツールを指します。
具体的には、メールの自動送信したり、営業担当者が顧客情報をリアルタイムで共有したりするのが、MAツールの主な用途です。
また、MAは基本的に見込み客に対してアプローチをとるために使用します。
対して、CRM施策はMAによって見込み客から顧客化した人物を含む「既存顧客」の情報管理を目的としています。
マーケティング活動に活用するという点においてはどちらも同じですが、その対象者が違うため、ツールの設計や活用方法に違いがあるのです。
CRM施策をおこなうメリット
CRM施策をおこなうことで、企業は以下のメリットを享受できます。
- 社内で顧客情報を共有できる
- 個々の顧客に合わせてアプローチ方法を最適化できる
- PDCAサイクルを円滑に回せる
- 顧客情報を蓄積できる
- 既存顧客主体のビジネスモデルの構築が可能になる
- 自社のブランド力向上が期待できる
- 既存顧客との関係性向上が期待できる
上記のメリットによって、最終的には利益の最大化という大きな目的を果たすことができるはずです。
現代のマーケティング活動の手法の1つとして、CRM施策を投じることは必須だといってもいいでしょう。
CRM施策を進める流れ
具体的なDRM施策を知るまえに、まずは施策を実行する際の流れを理解しておきましょう。
どのCRM施策を投じるにせよ、その全体像は以下の流れになります。
- 顧客分析
- 改善施策の立案・実行
- 効果検証
顧客分析
まずは顧客情報の分析をおこなうことが、CRM施策を進める出発点です。
顧客の購買傾向やニーズを把握するために、ツールを用いて以下のような情報を収集・分析します。
- 属性
- 購買履歴
- サイトへのアクセス履歴
- コミュニケーション履歴
- 離脱の履歴
これらの情報を元に分析することで、現状の課題や売上を拡大するための道筋が見えてくるはずです。
例えば、商品A・商品Cの両方を購入する顧客が一定数いれば、そのクロスセルを目指した施策を立案できるかもしれません。
もしくは、2回目の購入を最後に離脱した顧客が多いようなら、3回目の購入に繋がる施策を投じる必要があるでしょう。
改善施策の立案・実行
続いて、分析した顧客情報をもとに改善施策を立案し、実行していきます。
例えば、過去に購入してもらった商品と相性が良い商品の提案や、アフターフォローサービスの案内などを綴ったメール送信などです。
メール・LINE・SNSなど、施策によって適切なツール・プラットフォームも変わってくるでしょう。
また、施策を実行する前にKPIを定めておくことも大切です。
KPIとは、その施策の目標達成度合いを判断するための指標のことを指します。
KPIを定めておくことで、施策の効果検証や次の課題の抽出がしやすくなるはずです。
効果検証
CRM施策の実行後、一定期間が経ったら施策の効果を検証します。
KPIを達成できたか否かはもちろん、新たな課題が表面化することもあるかもしれません。
効果検証の結果をもとに、おこなった施策の修正・最適化・改善を進めていきます。
改善施策の立案・実行から効果検証の流れを繰り返し、時には再び顧客情報の分析に立ち返る必要がある場合もあるでしょう。
このように、CRM施策を実行する際はPDCAサイクルを回していくことが重要です。
CRM施策の代表的な例
この章では、CRM施策の代表的な例を6つ解説します。
導入する施策を検討する際の参考にしてください。
- お問い合わせフォームの作成
- 顧客の属性に合わせたメール配信
- ステップメール
- メルマガ
- LINE公式アカウントの運用
- 同梱物の送付
お問い合わせフォームの作成
自社のWebサイト上にお問い合わせフォームを設置することで、顧客の声を直接聞くことができます。
顧客からの質問や要望・意見などによって、商品やサービスの改善に直結するかもしれません。
また、問い合わせを受けることで顧客の氏名・メールアドレスなどの情報を収集・蓄積することが可能です。
さらに、問い合わせへの適格・スムーズな対応をおこなうことで、顧客との良好な関係性の構築に繋がります。
逆に、不適切な対応をしてしまうと、顧客との関係性が破綻してしまう危険性がある点も把握しておかなくてはいけません。
顧客の属性に合わせたメール配信
CRMツールを導入することで、顧客の属性に合わせてメール配信を最適化できます。
具体的には、顧客の属性や過去の購入履歴などに合わせて、配信の内容や日時などを分けることが可能です。
メール配信の最適化をおこなうことで、メールの開封率や反応率の向上が期待できます。
メール配信がきっかけとなって顧客からの問い合わせが生じ、新たなコミュニケーションが生まれることもあるでしょう。
また、離脱が懸念される顧客層へのメール送信によって、顧客の離脱を食い止めることができるかもしれません。
ステップメール
ステップメールとは、あらかじめ設定しておいた配信スケジュールに合わせて、段階的なメール配信をおこなう機能のことです。
顧客へのアプローチを段階的におこなうことで、信頼関係の構築や購買意欲の醸成に繋がりやすくなります。
具体的には、高額商品を販売する際などに、商品のストーリーやメリットなどを段階的に顧客に伝えていくなどの用途で使うのが有効です。
また、ステップメールは開封率やクリック率などを測定することができ、マーケティング戦略の改善・ブラッシュアップに役立たせることができます。
メルマガ
メルマガは、購読登録してくれた顧客に対して情報配信をおこなうものです。
最新情報の配信やクーポン配布などの用途で使用します。
CRMツールを用いることで、個々の顧客の購入履歴や属性などに合わせて、配信先を適切化したうえで一括送信することも可能です。
ただし、配信頻度があまりにも高かったり、セールス感が高かったりすると、多くの顧客が配信登録を解除してしまう危険性があります。
顧客との良好な関係性の構築を目的としているはずが、関係性を悪化させてしまうことにならないよう注意が必要です。
LINE公式アカウントの運用
LINE公式アカウントの運用は、近年多くの企業が導入しているCRM施策の1つです。
多くの方が日常的に利用しているLINEを使って顧客にアプローチすることで、メールよりも高い開封率・反応率が期待できます。
また、LINEの特性を活かして文字・画像・動画などさまざまなアプローチ方法で情報を伝えることが可能です。
ただし、メールマガジンと同様に、配信ペースや内容によっては顧客の離脱を招きかねません。
LINEはメールよりも身近に感じられやすいツールなだけに、十分注意が必要です。
同梱物の送付
購入された商品の送付時に、パンフレットなどを同梱するのもCRM施策の1つです。
そもそも、商品を送付するということは、その顧客は自社に対する興味・関心が高い状態だと判断していいでしょう。
梱包の開封時にほぼ確実に確認されるため、売上アップなどに繋げやすい施策だといえます。
また、例えばその商品に関するストーリーなどの思いを綴ったパンフレットを同梱することで、一般顧客からファンへと育成できるかもしれません。
アナログな手法ではあるものの、未知の可能性を秘めたCRM施策だといえます。
CRM施策の成果を最大化させるコツ
最後に、CRM施策の成果を最大化させるコツを3点お伝えします。
- 計画を立て、KPIを設定する
- 少しずつ始める
- PDCAサイクルを回しながらブラッシュアップしていく
計画を立て、KPIを設定する
CRM施策によって成果を出すには、入念な計画を立てること、それに沿ったKPIを設定することが非常に大切です。
計画立案が疎かな状態で闇雲に施策を投じても、それが成功するか否かは運次第になってしまいます。
また、実際に現場で業務を担当する方の理解・協力を得るためにも、計画を立てて提示することは必要不可欠です。
具体的な施策内容はもちろん、スケジュールや人材配置なども含めて全体的な計画を立てましょう。
目標達成基準となるKPIの設定も同時におこなうことで、業務担当者がアクションプランを立てやすくなります。
少しずつ始める
本記事では6種類のCRM施策を紹介しましたが、それらを全部同時に導入するのは現実的ではありません。
導入しやすいものを選別して、少しずつ進めていくことをおすすめします。
企業内で新しい取り組みを始める際は、現場と幹部の間ですれ違いが生じやすいものです。
現場の混乱を招かないように少しずつ進めていくことができ、結果的に成果を最大化しやすくなります。
PDCAサイクルを回しながらブラッシュアップしていく
どんなCRM施策も、すぐに大きな成果がついてくるものではありません。長期的なスパンで取り組みつつ、PDCAサイクルを回しながら施策をブラッシュアップしていくことが大切です。
施策の実行・効果測定・改善を繰り返していく中で、そもそもの計画やKPIを見直す必要が出てくることもあるかもしれません。そのような場合も、「顧客との良好な関係性を構築する」というCRM施策の目的に立ち返り、柔軟に対応していくことが大切です。
まとめ
価値観の多様化、消費行動の変化が顕著になっている昨今、CRM施策の導入はどんな業種の企業においても必要不可欠です。
CRM施策を導入することで、既存顧客主体のビジネスモデルの構築が可能になるため、市場規模が縮小していく今後の日本での有効な戦略になるでしょう。
一言でCRM施策といっても、具体的にはさまざまな種類の施策があります。一度に多くの施策を導入しようとせず、様子を見ながら少しずつ進めていくことが大切です。
また、それらは全て一朝一夕で大きな成果を得られるものではないため、長期的スパンで取り組んでいきましょう。
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