UXデザインとは、製品やサービスを利用するユーザーが満足のいく体験をできるよう、その体験そのものをデザインすることを指します。
この言葉の意味は理解していても、UXデザインをおこなう際の考え方やプロセスはイメージできないという方も多いでしょう。
そこで、この記事ではUXデザインに関する基礎知識を初心者向けに解説します。
ぜひ参考にしてください。
目次
UXデザインとは?
UXはUser Experienceの略で、ユーザー体験を意味します。
ユーザー体験とは、製品・サービスの使い心地からそれを使用してできること、得られる価値などを含めたすべての体験を指す言葉です。
UXデザインは、作るというよりも設計するものです。
UXはユーザー自身の体験を指す言葉のため、プロダクトの製作者側が本当の意味で体験することは不可能でしょう。
ユーザーがより良いユーザー体験を得られるよう最善の設計をおこなうことが、UXデザインの定義となります。
UXデザインの身近な例
世界中で利用されているオンラインショッピングサービスAmazonは、UXデザインの身近な例としてイメージしやすいはずです。
- スマホ一つあればあらゆるジャンルの買い物ができる
- 検索条件を簡単に入力できる
- ユーザーの利用履歴に合わせておすすめ商品が表示される
- 他者のレビューを確認できる
- ほしい物リストに入れて興味がある商品をストックできる
- 決済方法が選べる
- 購入した商品が最短で手元に届く
- 購入した商品のレビューを投稿できる
上記のように、ユーザーの「インターネット上で買い物をする」という体験が最良のものになるよう設計されているのが、Amazonのサービスです。
今では当たり前となったオンラインショッピングサービスですが、Amazonはその先駆け的な存在です。
ユーザーにとっての最良の体験を設計するために、幾度とない試行錯誤を重ねてきたことが想定されます。
UXデザインと混同されがちなUIデザインとは?
UIはUser Interfaceの略で、ユーザーと製品・サービスの接点を指します。
先ほどのAmazonの例で例えると、サイト・アプリの操作性に関するものをデザインするのがUIデザインです。
対して、UXデザインは全ての顧客体験をデザインすることを意味します。
つまり、UIデザインはUXデザインの中の一つの要素であり、工程の一部です。
良いUXデザインの定義や具体的な考え方
この章では、良いUXデザインの定義・考え方として提唱されている構造モデルを紹介します。
・UXを構成する7つの要素 ・UXの5段階モデル |
UXを構成する7つの要素
7つの要素 | 定義 |
---|---|
Useful(役に立つ) | ユーザーにとって有用か |
Usable(使いやすい) | ユーザーにとって使いやすい設計か |
Desirable(好ましい) | ユーザーにとって好ましく魅力的なデザイン設計か |
Findable(見つけやすい・探しやすい) | ユーザーが必要なものを見つけやすい設計か |
Accessible(アクセスしやすい) | 誰でも利用しやすい設計か |
Credible(信用できる・信頼できる) | 提供元に対する信頼性・情報の信憑性や、商品の品質が保障されているか |
Valuable(価値がある) | ユーザーにとって価値提供できているか |
上記の7つの要素は、ピーター・モービル氏が提唱した「UXハニカム」という構造モデルです。
Valuable(価値がある)を実現するためには、その他の6つの要素がバランス良く満たされていることが大切だとされています。
これらの要素をどれくらい満たしているかを考えることで、UXデザインの良し悪しを判断することができます。
UXの5段階モデル
STEP | 5段階モデル | 概要 |
---|---|---|
1 | 戦略段階 | ユーザーニーズ、プロダクトの目的を定義する |
2 | 要件段階 | ユーザーニーズを満たすため、プロダクトの目的を達成するために必要な機能・コンテンツを設計する |
3 | 構造段階 | 要件段階で定めた内容を、ユーザーにわかりやすく提供できるよう全体構造を設計する |
4 | 骨格段階 | ユーザーが理解しやすいUIデザイン・情報設計をおこなう |
5 | 表層段階 | フォントやロゴなど、ユーザーが視覚情報として認識する要素を反映させる |
上記のUXの5段階モデルは、アメリカのジェシー・ジェームズ・ギャレット氏によって提唱されました。
上記のステップに沿って工程を進めていくことで、UXを考慮したプロダクトの開発ができるとされています。
UXデザインを設計するプロセス
前章の内容を踏まえて、この章ではUXデザインをおこなう際の具体的なプロセスを解説します。
・ユーザーが持つ悩み・課題の調査 ・ペルソナ・カスタマージャーニーマップの作成 ・プロトタイプの作成 ・ユーザビリティテストをおこなう ・課題を改善しながらPDCAサイクルを回す |
ユーザーが持つ悩み・課題の調査
まずは、ユーザーが持つ悩みや課題を調査します。
あらゆる分野において、製品やサービスはユーザーの悩み・課題を解決するために存在するといっても過言ではありません。
ユーザーが持つ悩みや課題を深く理解することが、より良いユーザー体験を提供するための第一歩となります。
ペルソナ・カスタマージャーニーマップの作成
続いて、ペルソナの設定、カスタマージャーニーマップの作成をおこないます。
ペルソナとは、その製品・サービスを利用すると想定される典型的な人物像を定義したものです。
カスタマージャーニーマップとは、ユーザーがプロダクトを認知してから使用するまでの心理や行動を、想定した工程に沿って可視化したものを指します。
それぞれの具体的な進め方は、下記の記事を参考にしてください。
>>>>ペルソナ設定の方法を3ステップで解説!基礎知識から注意点まで
>>>>カスタマージャーニーマップとは?作り方6ステップと注意点を解説
プロトタイプの作成
顧客が抱える悩み・課題を解決できる機能を備えた製品・サービスのプロトタイプを作成します。
その際は、ペルソナやカスタマージャーニーマップで定義したユーザーの心理を考慮して進めることが大切です。
同時に、ユーザーの多様性にも対応するため、想定したユーザー心理に寄り添いすぎないよう、一歩引いた目線を持つことも必要になります。
ユーザビリティテストをおこなう
製品・サービスのプロトタイプが完成したら、ユーザビリティテストをおこなって、使い心地やユーザーの反応をチェックします。
この工程を挟むことで、作成時には気付けなかった不具合や使いにくさに気づくことができ、よりよいプロダクトを作成するためのヒントを抽出できます。
ユーザビリティテストの詳しい進め方は、下記の記事を参考にしてください。
課題を改善しながらPDCAサイクルを回す
ユーザビリティテストをおこなうことで浮き彫りになった新たな課題を踏まえたうえで、プロダクトの改良に着手します。
改良が完了したら再びユーザビリティテストをおこない、さらに改善するという工程を繰り返しながらPDCAサイクルを回していきましょう。
このように、試行錯誤を繰り返すことがよりよいユーザー体験を創出するための最良の手段だといえます。
場合によっては、ペルソナ設定・カスタマージャーニーマップの段階まで戻って見直しをする必要も出てくるかもしれません。
まとめ
UXデザインとは、より良いユーザー体験を提供できるよう設計することを指します。
良いUXデザインの判断基準は「UXを更生する7つの要素」として定義されているため、それを軸に考えることが大切です。
また、自社でUXデザインを進めることが困難な場合は、専門業者に依頼することも可能です。
その場合は、下記の記事を参考にUXデザインの外注を検討してみましょう。
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